ひどく風の匂い

弘明寺健太のブログ

ふた昔前

2年後に元号が変わるかもしれないらしい。
自分が作る曲はときどき人から「昭和っぽいね」などと言われることがあるのだが、まんざら悪い気はしなかったりする。
今は平成だから、その前の昭和は要するに「ひと昔前」ということになるかと思うが、次の元号になったら、その瞬間、昭和は「ふた昔前」になってしまう気がする。そうなったら、根っからの昭和な人間である自分など、たちまちおじいちゃん扱いだろう。

そもそも「昭和的」というような表現が使われるようになったのはいつからだろう。平成に入って10年くらい経ってからだろうか。
明治、大正、昭和、平成と、それぞれなんとなくその時代のイメージがある。明治は明治維新、文明開化、富国強兵みたいななんか勇ましいイメージ、大正は大正浪漫、昭和は長かったから色んなイメージがあると思うけど、最近はどことなく古き良き時代、みたいな文脈で語られることが多くなったような気がする。
平成はこれからどんな時代として人々に記憶されていくのだろう。

 

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少し前に、「1979年の歌謡曲」という本を読んだ。1979年(昭和54年)の日本は、テレビやラジオで歌謡曲、ニューミュージック、演歌などがすべて同列に扱われ、入り乱れて全国に流布しており、非常に熱い音楽シーンを作っていたというような内容の本だ。当時「ザ・ベストテン」などを最も熱心に観ていた自分もずっと前からそう思っていたので、同じことを考えている人がやっぱり他にもいるんだな、と興味深く読んだ。
昭和54年、自分は小学5年生だった。エンターテイメントというものに対する嗜好が形成される最初の時期かもしれない。その後中学に上がった僕は、今度は「ベストヒットUSA」を熱心に観るようになるのだった。
この歳になって振り返ると、自分の音楽的ルーツは「昭和54年の歌謡曲と、1982年の洋楽」にあるのではないかと思っている。