ひどく風の匂い

弘明寺健太のブログ

ふた昔前

2年後に元号が変わるかもしれないらしい。
自分が作る曲はときどき人から「昭和っぽいね」などと言われることがあるのだが、まんざら悪い気はしなかったりする。
今は平成だから、その前の昭和は要するに「ひと昔前」ということになるかと思うが、次の元号になったら、その瞬間、昭和は「ふた昔前」になってしまう気がする。そうなったら、根っからの昭和な人間である自分など、たちまちおじいちゃん扱いだろう。

そもそも「昭和的」というような表現が使われるようになったのはいつからだろう。平成に入って10年くらい経ってからだろうか。
明治、大正、昭和、平成と、それぞれなんとなくその時代のイメージがある。明治は明治維新、文明開化、富国強兵みたいななんか勇ましいイメージ、大正は大正浪漫、昭和は長かったから色んなイメージがあると思うけど、最近はどことなく古き良き時代、みたいな文脈で語られることが多くなったような気がする。
平成はこれからどんな時代として人々に記憶されていくのだろう。

 

f:id:gumyoken:20170115224106j:plain

少し前に、「1979年の歌謡曲」という本を読んだ。1979年(昭和54年)の日本は、テレビやラジオで歌謡曲、ニューミュージック、演歌などがすべて同列に扱われ、入り乱れて全国に流布しており、非常に熱い音楽シーンを作っていたというような内容の本だ。当時「ザ・ベストテン」などを最も熱心に観ていた自分もずっと前からそう思っていたので、同じことを考えている人がやっぱり他にもいるんだな、と興味深く読んだ。
昭和54年、自分は小学5年生だった。エンターテイメントというものに対する嗜好が形成される最初の時期かもしれない。その後中学に上がった僕は、今度は「ベストヒットUSA」を熱心に観るようになるのだった。
この歳になって振り返ると、自分の音楽的ルーツは「昭和54年の歌謡曲と、1982年の洋楽」にあるのではないかと思っている。

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

元日、2日で、鎌倉・熱海を廻ってきました。人で溢れかえった初詣は苦手なので、鎌倉では専ら古い寺廻りを、熱海ではゆっくりと温泉に入ってきたところです。やっぱり古都の厳かな雰囲気を味わうには元日が一番。小さな北鎌倉駅は、行楽シーズンともなると行列でホームから出るのも一苦労なくらいですが、さすがに元日は人も少なく、静かな山寺の空気を堪能できたと思います。

昨年はとにかく仕事に忙殺された一年だったものの、そんな中でわずかな時間を見つけては自宅で音源作りに勤しみ、なんとか年内に完成できたことは、自分にとっても結構大きな成果でした。
とはいえ、やはり一番楽しいのはものを作っているときで、完成してしまった今となっては、これからこれをどうやってより多くの人の耳に届けてゆけばよいものか、また、聴いてもらった人には本当に楽しんでもらえるだろうか、と不安ばかりが頭をよぎり、「HOJO」(方丈)というちょっと悟ったようなタイトルをつけたわりには、頭の中は雑念だらけなのです。

ありがたくもこのCDを手にとって頂いた人には、何度も繰り返し聴いてもらいたいし、繰り返し聴いても飽きないものであってほしい。ずっとそう考えながら音源を作ってきましたが、改めて温泉に浸かりながらまた同じことを願っていました。
そしてまた今年も、去年よりいい音楽ができるよう精進せねばと、ちょっとだけ背筋を伸ばす正月でなのでありました。

 

 明月院の方丈にて。美しい!

f:id:gumyoken:20170102231510j:image

 YouTubeに「HOJO」のダイジェストをアップしました。

youtu.be

CDを作りました。

弘明寺健太 1st CD「HOJO」

1. 仲見世夜曲
2. Lazy River
3. 三寒四温
4. 曼月
5. また、あした

¥1,000(税・送料込)

■販売サイト「GumyoDisc」
https://gumyodisc.buyshop.jp/

 <リリースによせて>
タイトルの「HOJO」は「ほうじょう」と読みます。漢字で書くと「方丈」。
方丈とは約3メートル四方の正方形の空間のことで、古いお寺などではお坊さんの居室をこう呼んだり、一説によるとそこは全宇宙を内包する場所だとも。
このCDは、正方形ではないけれど、自宅の六畳一間で、ほぼ1台のPCとマイクのみによって作られたものです。
時間を見つけては音楽作りに没頭するうちに、その部屋はいつしか自分にとっての方丈となっていたのでした。
少しづつ音を重ね、自分の奏でた音や声と向き合う作業は、何を目指すのかを自問自答する悩ましくも楽しい作業でした。
そうして出来上がったCDは、全宇宙とはいかないけれど、日々触れるものへの様々な想いを自分のできる精一杯の表現で綴ったものになったのではないかと思います。

ジャケットの素敵な写真は、神戸で暮らしていたときいつもお世話になっていた「スタジオNeko」のマコさんに撮ってもらったものです。
僕の頭の中にあったこのアルバムのイメージとコンセプトを、見事なまでに美しく視覚化してくれました。本当にありがとう。
また同じくスタジオNekoのコバやんにも、音作りに関する多くのアドバイスを頂いたこと、心から感謝いたします。

このCDが一人でも多くの方の耳に届くことを願っています。

2016年 冬 弘明寺健太


YouTube仲見世夜曲」

youtu.be